【終了報告】堺市スポーツ指導者研修会「こどもが伸びる!コーチングクリニック」

2026年2月1日(Sun)、本年度からスタートしました堺市教育スポーツ振興財団様との連携事業の一環として金岡公園体育館にて開催させていただきました。
当日の主な内容は以下の通りです。

■ 内容①:こどもへの動機付け理論の解説(内発的動機づけの3要素)

前半は講義形式で、子どもが「やらされる」ではなく**自分からやってみたくなる状態(内発的動機づけ)**をどう育てるかを整理しました。今回は特に、内発的動機づけを支える重要な3要素である 自律性・有能感・関係性 に焦点を当て、指導現場での具体例とともに解説しました。

  • 自律性(Autonomy)
    子どもが「自分で選べている」「自分で決めている」と感じられること。練習の中で小さな選択肢を用意したり、目標設定を本人の言葉で整理したりするだけでも主体性が高まりやすくなります。
  • 有能感(Competence)
    「できた」「上手くなった」と実感できること。成功体験を積ませるだけでなく、結果だけではなく過程(フォーム・工夫・挑戦)を具体的に承認する声がけが、有能感の形成につながります。
  • 関係性(Relatedness)
    「見てもらえている」「認められている」「安心できる」と感じられる関係。指導者や仲間との温かい関わりが、挑戦への心理的ハードルを下げ、継続的な参加につながります。

これら3要素は、体力や技術の向上だけでなく、練習への参加姿勢・挑戦する態度・失敗の受け止め方にも影響します。当日は、指導者の言葉や環境設定がこの3要素をどう支えるかを、実際の指導場面を想定しながら共有しました。

■ 内容②:スピード・アジリティドリル実施時の声がけの実践(注意の向け先:外部焦点)

後半は実技として、スピード・アジリティ系ドリルを例に、実際の指導場面を想定した声がけの実践を行いました。現代の運動学習においては、指導者が「何を言うか」だけでなく、具体的な指示を“どこに向けるか(注意の焦点)が重要だとされています。

Wulf ら(2007, 2013)は、筋収縮や関節角度など自分の身体に意識を向ける「内部焦点」よりも、動作の結果や外部の対象に意識を向ける「外部焦点」の方が、運動の自動化を促進し、パフォーマンスを高めることを示しています。そこで本クリニックでは、同じドリルでも声がけの向け先を変えることで、動きの質や反応が変化しやすい点を体験的に確認しました。

例えば、内部焦点の声がけとしては「膝を上げて」「腕を大きく振って」など“身体の動かし方”を直接指示する表現が多くなります。一方、外部焦点では「床を強く押して前へ進もう」「マーカーを踏まずに素早く抜けよう」「コーンの外側をなぞるように回ろう」など、外部の目標や動作の“結果”に注意が向く表現へ置き換えます。
当日は、こうした言葉の違いを実際のスピード・アジリティドリルの中で試しながら、子どもへの指導における伝え方の引き出しを増やすことを狙いました。

本クリニックを通して、子どもたちの動きや意欲を引き出すためには、技術指導だけでなく、関わり方(声がけ)や環境づくりが大きな役割を担うことを改めて共有できました。今後も、現場で実践しやすい理論と方法をわかりやすくお届けし、子どもたちが「やってみたい」「もっと上手くなりたい」と感じられる機会の創出に努めてまいります。

ご参加いただいた皆さま、ならびに運営にご協力いただきました関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。今後の当センターの取り組みもぜひご期待ください。

引用文献
1.Wulf, G. (2007). Attention and motor skill learning. Human Kinetics.
2.Wulf, G. (2013). Attentional focus and motor learning: A review of 15 years. International Review of Sport and Exercise Psychology, 6(1), 77–104.

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